手のひらに乗るくらいの子猫をお迎えしたら、気持ちが昂って顔が綻ぶことは間違いなし。
たとえ猫好きじゃなくても、天使のようなその寝顔にうっとりするのではないでしょうか。
そしてまず最初に考えるのは「何を食べさせればいいのだろう?」ということだと思います。
実は子猫の時期の食事はとっても重要なのです。
今回は成猫になる1歳までのご飯の量や、その与え方などについて解説していきます。
時期別|ご飯の与え方
子猫の成長はとても早く、約一年で成猫になります。
ですので成猫に与えるご飯よりも子猫の時期のほうがより多くの栄養を必要とします。
栄養素が不足すると骨格や筋肉の成長が不十分となってしまい、しっかりとした成猫の体が作られず、病気やケガの多い子に育ってしまうかもしれません。
〜生後3週(授乳期)
生まれて間もない子猫は、生後10日ほどで目が開き出します。
生後3〜4週ほどまでは、母猫の母乳で育ちます。
餌の種類
一番良いのは母猫の母乳です。母猫の母乳は高脂肪、高タンパクで子猫が育つ栄養素がたっぷりと含まれています。
また母猫の初乳には抗体が含まれており、子猫の免疫にとても重要な成分なのです。
しかし保護猫や母猫の育児放棄や体調不良などさまざまな原因から、人の手で授乳期の子猫を育てることもあります。
栄養価の高い子猫用のミルクが販売されているので、必ずそれらを与えてください。
餌を与える回数
人肌に温めた子猫用ミルクを2〜3時間ごとに、1日8〜12回ほどに分けて与えてください。
ミルクを与える側の人はたいへんだと思いますが、育児には人も猫も手がかかるものです。
しっかりと子猫を見守ってあげてください。
1日に与える量
1日に100〜120ccを目安に、8〜12回に分けて与えます。
生後1週間以内は10ccくらいの量を、1日10〜12回に分けて与えます。
生後2週間以降は少しずつ1回の量を増やしつつ、回数をだんだんと減らしていきましょう。
ただし、ミルクを飲む量には個体差もありますので、見極めも必要です。
基本的には欲しがるだけミルクをあげても構いません。
子猫はお腹がいっぱいになると自分から飲むのをやめて、哺乳瓶から口を離します。
与え方
授乳には子猫用の哺乳瓶を使います。吸いつく力が弱い、または吸いつけない場合は、哺乳瓶ではなくシリンジやスポイトを使い、数滴ずつ舌に垂らすようにして飲ませてあげましょう。
あまり急いで飲まそうとするとミルクが口から溢れたり、気管にミルクが入ってむせてしまうこともありますので、気をつけてください。
また、この時期の子猫は自力で排泄ができません。
本来なら母猫がお尻などを舐めて排泄を手助けしてくれるのですが、母猫がいない場合にはご飯の前後に濡れたティッシュなどを使って優しくお尻を触ってあげて、排泄を促してあげましょう。
生後4〜12週(離乳期)
乳歯も生え始め、ミルク以外の食事から他の食事へとだんだん興味を持ち始めるようになります。
餌の種類
生後4週を過ぎると、そろそろ離乳食に切り替える時期です。
フードは子猫用で栄養価の高い小粒タイプか、やわらかいウェットタイプのフードを選びましょう。
餌を与える回数
この時期の子猫は消化器官がまだ未発達です。
2〜3時間に1回、1日4〜5回に分けてこまめにご飯をあげましょう。
1日に与える量
この時期の子猫の体重は猫種にもよりますが、おおよそ1.5kgほどまで成長するのが一般的です。
1日に与えるご飯のご飯の量は、与えるフードの栄養価や体重によっても若干変わってきます。
フードのパッケージにはグラムに対してのカロリー量が記載されているので、下記のカロリー量を目安にして、こまめに分け与えてください。
ご飯の量は「だいたいこれくらいかな」と目分量で与えるのはやめて、キッチンスケールなどで必ず正確な量を計りましょう。
【1日に与えるカロリー量の目安】
・体重1kgに対して約1日約200kcal
【1日に与えるフード量の目安(フードの種類によって若干異なります)】
・体重0.5kg……1日約30g
・体重1kg……1日約50g
・体重1.5kg……1日約70g
与え方
小粒のドライフードは、ぬるま湯や子猫用のミルクでふやかしてあげてください。
中には上手にご飯を食べれない子もいます。その場合は猫用のフード注入器などを使って、優しく食べさせてあげてください。
生後3〜6ヶ月(幼猫期)
見た目はまだまだ子猫ですが、爪研ぎや猫の習性を見せ始めます。
飼い主さんにも積極的に遊びを求めてくる、好奇心旺盛のやんちゃな育ち盛りの時期と言えます。
餌の種類
子猫用の離乳食からだんだんと成猫用のドライフードに切り替え出す時期です。
様子を見ながらゆっくりと慣らし始めます。
餌を与える回数
ご飯の回数を徐々に減らしていきましょう。3〜4時間ごとに、1日3〜4回くらいを目安にして小分けにしてご飯をあげましょう。
1日に与える量
生後6ヶ月ほどの子猫は成長のよい子でも4kgくらいまででしょう。
少しずつ栄養価の高いフードから、成猫用フードに慣らしていく時期です。
授乳期の子猫に比べれば与える量が少なく感じられるかもしれませんが、かわいそうだからと言って与えすぎは禁物です。
【1日に与えるカロリー量の目安】
・体重1kgに対して約1日約150kcal
【1日に与えるフード量の目安(フードの種類によって若干異なります)】
・体重2kg……1日約70g
・体重3kg……1日約95g
・体重4kg……1日約120g
与え方
生後3ヶ月も過ぎれば、子猫用のドライフードやウェットフードを普通に食べることができます。
しっかりと分量を守って与えてください。
生後7〜12ヶ月(子猫期)
発情期を迎え、いよいよ子猫から大人の猫になる時期です。
餌の種類
まだまだ成長過程ですので、一歳未満の栄養価の高いフードが必要になります。
そして同時に成猫用のカロリーが抑えられたフードへと切り替えの時期でもあります。
餌を与える回数
生後6ヶ月を過ぎたあたりから、徐々に食事の回数を減らしていき、12ヶ月になる頃には朝晩2回のペースに調整しましょう。
やっぱりここでもいきなりは食事回数を減らしてはいけません。
今まで3〜4回食べていたご飯がいきなり2回に減らすのは、猫もかわいそうだし飼い主としても心が痛むことでしょう。
ゆっくりと時間をかけて、フードの量と回数を調整してください。
1日に与える量
体も成長し成猫に近づくにつれ摂取カロリーもだんだん減らしていきます。
この時期からの与え方が、今後の食事の基本になって行きます。
いつまでも健康でいてもらうためにも、カロリーオーバーには気をつけましょう。
【1日に与えるカロリー量の目安】
・体重1kgに対して約1日約100kcal
【1日に与えるフード量の目安(フードの種類によって異なります)】
・体重3kg……1日約90g
・体重4kg……1日約105g
・体重5kg……1日約125g
与え方
成猫用のドライフードに切り替える時期だからと言って、いきなりすぐに切り替える訳にはいきません。
まず最初はいつも食べている子猫用と成猫用ドライフードを3:1くらいの割合で混ぜます。
少しずつ成猫用ドライフードの割合を多くしていき、7〜10日くらいかけてゆっくりと成猫用フードへと切り替えてください。
ご飯を食べない時に考えられる原因と解決法
子猫がご飯を食べないときの原因として、まず考えられるのは体調不良です。
いつもは好んで食べていたご飯を食べなくなったら、念のため動物病院に連れて行きましょう。
その他に考えられることは「好き嫌い」です。猫は生まれてから6ヶ月くらいまで食べていたフードを「食べ物」として覚えます。
この間にあまりに多種類のフードを与えていたり、ついかわいいからと言って人間の食べ物を与えてしまうと、その味を覚えてしまい肝心のフードを食べない子になってしまうことがあります。
嗜好を変えるために何種類かのフードを使い分けるのは良いことですが、毎回毎回フードを変えることはやめましょう。
まとめ
猫の成長はとても早く、1歳になるまで体重は20〜40倍になるとも言われ、この時期の食事には飼い主さんはとても気を遣うでしょう。
そして一度「これ」と決めたら、そのフードしか食べなくなる猫も珍しくありません。
成猫へと成長する多感なこの時期に、飼い主さんがしっかりと好き嫌いを見極めて、栄養バランスがしっかりと取れた猫が喜ぶ食事を見つけてあげてくださいね。