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【完全ガイド】保護活動団体から猫の譲渡を受けるときの基本の流れ

「条件が厳しすぎる」
「根掘り葉掘り聞かれて不快」


といったネガティブな意見も多い保護猫の譲渡ですが、猫を虐待したり不当に遺棄する里親詐欺を防ぐためには様々な条件を設けるのは当たり前とも言えます。

とは言え、世間からハードルが高いと思われたまま=保護猫の里親が見つからないという負の連鎖が生まれてしまいます。

そこでこの記事では、猫の里親探しを行なう保護活動団体から猫を引き取る際の流れや条件について、詳しく解説していきます。

「猫を飼おうか迷っている」
「保護猫の里親になりたい」

という方はぜひご一読ください!

代表的な法人の種類について

NPO法人をはじめとする「○○法人」について、何がどう違うのかをご存知でしょうか。

猫の譲渡に直接関係することではありませんが、保護活動を行なう団体のバックグラウンドを知っておくことに損はありません。

ぜひこの機会に覚えておきましょう。

譲渡会の流れまでスキップする

非営利法人

非営利法人は、活動で得た利益・収益を構成員に分配せず、すべて団体の活動資金として使用します。
利益の分配をしないだけで、収益活動を行なうこと自体には問題がありません。
(非営利=利益を得てはいけないという意味ではありません)

①特定非営利活動法人(NPO法人)
不特定かつ多数の人の利益の増進に寄与することを目的とした活動を行なう。
法で規定された20の活動分野の範囲内で活動を行う必要がある。

②一般社団法人
活動が制限されておらず、収益をあげることや法人内部の共益だけを目的とすることも可能。

③一般財団法人
活動が制限されておらず、拠出された財産を一定の目的のために利用する。

※財団法人とは、個人または団体から集められた資金・資産などの財産を法人化し、その資産を運用して活動を行う団体です。

※「株式会社」や「合同会社」などは営利法人に分類されます

ボランティアとの違いは明確に定められているわけではありませんが、簡単に言うと以下のようになります。

▸NPO=組織
▸ボランティア=個人

一般的には「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」を指してボランティア活動と言われており、活動の性格として、「自主性(主体性)」、「社会性(連帯性)」、「無償性(無給性)」等があげられる。

引用元:厚生労働省「ボランティアについて」

非営利団体の公益認定

公益認定とは、一般社団法人・一般財団法人が認定を受けて、公益社団法人・公益財団法人になることを指します。

公益認定を受けることで、税制優遇や社会的信用度が高くなるなど、様々なメリットがある反面、厳しい審査をクリアする必要があります。

<公益社団法人・公益財団法人>
法で規定された23の公益目的事業の範囲内で活動を行う必要がある。
自法人の利益追求だけでなく、社会全体に貢献する活動を行なう。

財団法人と社団法人の違いは、法人化する対象

▸財団法人=「財産そのもの」が法人格、目的のために財産を活用する
▸社団法人=「人の集まり」が法人格、活動目的に重きを置く

主な活動内容は5つ

①ミルクボランティア
②地域猫のTNR(捕獲&不妊手術)ボランティア
③譲渡ボランティア
④シェルターでの飼育管理
⑤野良猫、里親募集猫の引き取り

基本的な譲渡会の流れ~3ステップ~

譲渡会参加当日に猫を引き取ることはできません。

基本的な譲渡の流れ~5ステップ~

審査から譲渡までの所要期間は1週間~1ヶ月程度

譲渡条件

ここからは最も気になる譲渡条件についてです。

ほとんどの団体が定めている★★★の条件から、少し珍しい★の条件まで、必須レベル別にご紹介していきます。

必須レベル★★★の条件をクリアできない方は、譲渡の可能性は非常に低くなります。

必須レベル★★★

▸譲渡会やお見合いへ参加
▸終生飼育
▸完全室内飼い
▸定期的な健康診断の受診やワクチンの接種
▸不妊・去勢手術
▸同居家族すべての同意
▸安定した収入がある
▸譲渡後の定期的な報告
 ※譲渡後の定期報告は、はがき・メール・ブログ・SNSなど団体によって方法が異なります

必須レベル★★

▸近々妊娠・出産の予定がない
▸転勤や引っ越しの予定がない
▸海外移住の予定がない
▸重大な病気を患っていない
▸ご家族(または本人)が、猫アレルギーを持っていない
▸脱走防止策の徹底(マイクロチップや迷子札の装着など)
▸2段以上のケージを設置

必須レベル★

▸家族全員の面談
▸先住猫がいない場合、2匹飼いをする
▸兄弟がいる猫は一緒に引き取る
▸プレミアムフードで健康管理をする
▸アポイントなしの家庭訪問や連絡などに対応する
▸中学生以下の子供がいる場合、アレルギー検査を実施
▸固定電話がある
▸過去に飼育歴がある

譲渡不可になる可能性が高い対象

▸未成年、学生、無職、フリーターなど経済的に安定した収入がない場合
▸一人暮らし
▸男性の一人暮らし
▸結婚の予定がない同棲カップル
▸小学生未満や乳幼児がいる家庭
▸高齢者
▸高齢者のみの家族
▸日本に永住権および自己所有家屋のない外国籍の方
▸再譲渡、繁殖、販売を目的としている
▸子猫の場合、4時間以上の留守がない

保証人や後見人がいれば譲渡可能になる場合も

<保証人・後見人が必要なケース>
①高齢者(60~75歳以上、団体によって異なる)
②未成年(20歳未満)
③単身者

<保証人・後見人に求められる条件>
①年齢が20~55歳(団体によって異なる)
②飼育者本人の親戚または血縁者
③身元確認(住所、氏名、連絡先、身分証等)
④一緒に譲渡会やお見合いへ同行するなど、面会が必要
 ※その他、ペット可住居などの証明書を提出する必要がある

譲渡にかかる費用

保護活動団体から引き取る場合、基本的に生体にかかる費用はありません

ただし多くの場合、保護~譲渡までにかかった医療費については全額もしくは一部負担が必要です。

医療費の内訳と費用目安

▸不妊手術の術前検査費用(血液検査・レントゲン・エコー)
 費用目安:3,000円

▸避妊去勢手術代
 費用目安:メス10,000円~15,000円、オス5,000円~10,000円

多頭飼育崩壊の猫や耳カット済みの地域猫、団体指定の動物病院で手術をした場合など、手術費用が0円になることもあります。

譲渡時点で避妊・去勢手術が済んでいない場合は、約束金を支払うケースがほとんどです。手術終了証明書などで確認後、約束金は返金されます。

▸ウイルス検査費用(猫エイズ・猫白血病)
 費用目安:3,000円~5,000円

▸寄生虫駆除代(ノミ・ダニ・回虫等)
 費用目安:2,000円~5,000円

▸3種混合ワクチン費用(子猫の場合は×2回分)
 費用目安:3,000円~5,000円

▸マイクロチップ挿入費
 費用目安:3,000円~5,000円

▸マイクロチップ登録料 1,050円

6ヶ月未満の子猫は、エイズや白血病の検査をしても正確な判定ができないため、体への負担を考えて実施しないのが基本です。

そのため、子猫を引き取る場合は少なからずリスクがあるということを知っておきましょう。

その他の費用

▸飼育費(餌代、トイレシーツ代など)
▸事務手数料
▸運営・活動支援費
▸お届けの際の交通費(高速代、ガソリン代、駐車場代)

費用は全額負担、一部負担と団体によって異なります。
また、施した医療行為の種類に関わらず一定の金額を請求する場合や、あらかじめ費用上限が決まっているケースもあります。

例)医療費35,000円+その他費用10,000円の場合
▸全額負担⇒支払額45,000円
▸一部負担⇒
 ①上限なし4割負担⇒支払額18,000円
 ②上限10,000円⇒支払額10,000円
▸一律請求50,000円⇒支払額50,000円

譲渡時に提出する書類

<基本的に必要な書類>
▸身分証明書のコピー(免許証、保険証、住民票など)
▸集合住宅または賃貸住宅に住んでいる場合
 ⇒ペット可住居を証明する書類(管理会社や大家からの飼育許可書、承諾書、または規約書のペット可条項のコピーなど)

収入を証明するために、下記が必要になるケースもあります。
▸収入証明書、会社記入捺印のある在職証明書、源泉徴収票、預金残高が分かる通帳のコピーなど
 ※電話確認が行なわれる可能性もあります。

その他、必要に応じて下記書類の提出を求められます。
▸家族内にアレルギーの方がいる場合
 ⇒医師の診断書
▸避妊・去勢手術、ワクチン接種を自分で行った場合
 ⇒領収証・証明書のコピー

トライアルについて

正式譲渡前のお試し期間として、トライアル制度を設けている団体が多いです。

このトライアル期間は、猫を引き取るかどうかを考えるとともに、団体が譲渡するか否かを見極める期間でもあります。

トライアルは基本1~2週間程度で、猫の飼育に必要な準備は一通り済ませておく必要があります。

また、トライアル中にかかった医療費は自己負担となり、正式譲渡に至らなかった場合でも基本的に返金されることはありません。

~6ヶ月未満の子猫は体調が変化しやすく、いつ急を要する処置が必要になるか分からない不安定な存在です。

また、著しく成長する時期でもあり、例え1週間程度であってもあっという間に大きくなるため、トライアルは行わないことがほとんどです。

先住猫(犬)がいる場合の注意点

先住猫(犬)がいる場合は、飼育頭数に注意。
多くの場合、3頭以上の同時飼育は譲渡不可になります。

また、下記条件をクリアしている必要もあります。
▸先住猫の避妊・去勢手術が済んでいる(病気や高齢といった特別な事情を除く)
▸先住猫のワクチン接種が済んでいる
▸先住猫が疾患を持っていない(お互いの血液検査が必要な場合もあります)
▸先住猫が必ず室内飼いであること

まとめ

以上、保護活動団体から猫の譲渡を受けるときの基本の流れを解説しました。

今回ご紹介した内容を見て、「厳しすぎる」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、軽い気持ちで引き取って、簡単に飼育放棄してしまう人を出さないためにも必要な手順だと筆者は考えます。

生き物を育てるには覚悟が必要です。

団体の多くは、TwitterやFacebookなどのSNSを通じて、里親を募集している猫の情報を発信していたり、YouTubeで施設内の様子を動画配信などを行なっています。

また、最近ではオンライン譲渡会というSkypeやZOOMを利用した試みも実施されています。

興味がある方は、各団体のサイトを覗いてみてくださいね。

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