自然災害は時に人や社会に大きな影響をもたらします。
そして、私たちと生活を共にしているペットにも同じように災害は降りかかるものです。
「いざという時、ペットを守るためにどうしたらいいのか」
私たち飼い主は、日頃からペットのことも考慮した防災意識を持っておく必要があります。
この記事では、災害時のペットの行動や扱い方、必要になる防災グッズなどをご紹介していきます。
絶対に覚えておいて損はない内容なので、ぜひ最後までお付き合いください!
記事の最後に優先度順のチェックリストもあります☆
災害発生時のペットについて覚えておきたい3つのこと
災害から身を守るためには日ごろからの準備がとても大切。
準備と一口に言っても、避難先で必要になる物資だけではなく、ペットの命を守るための知識も必要になってきます。
まずは災害時のペットについて覚えておきたい3つのことについてご紹介します。
普段とは違う行動に出ることがある
地震などの自然災害では、ペットが普段と違う行動に出ることも少なくありません。
・施錠していない窓や玄関が勝手に開き、パニックになって脱走してしまった
・災害に対して敏感に反応し、驚いて物陰に隠れて出てこなくなった
人間と同じようにペットも身の危険を感じてパニックになり、こちらの呼びかけに応じなくなってしまうケースはよく聞く話です。
そのような普段と異なる行動によって大切な猫とはぐれてしまう原因になってしまう可能性は十分に考えられます。
万が一の場合でも素早く避難するためには、日頃からのしつけが大切です。
例えば、簡易トイレやケージなどの防災グッズを日頃から使わせておくなど。
そうすることで避難先でも警戒せずに防災グッズを使用できるでしょう。
普段からのしつけは、いざという時でも素早い避難と身の安全を守ることにつながります。
避難所でのトラブルの原因になることがある
避難所では、自身と同様に避難してきた人たちとスペースを共有します。
その中には動物が苦手だったり、アレルギーを持つ人もいるでしょう。
そうした人たちからすると、動物とスペースを共有することは苦痛でしかありません。
環境省が行った東日本大震災時の自治体アンケートによると、ペットの鳴き声や臭いなどの苦情は多く寄せられていたそう。
自身や家族の健康に対する不安が強く、ペットの放し飼いやノミなどを警戒する人も。
ペットを飼っている飼い主全員が、十分なしつけを行えているとは限りません。
特に公共の場だと、そのしつけの甘さによって対人同士のトラブルにまで発展することもあります。
避難所でのペットの扱いって?
「避難所にペットを同伴できるのか」と疑問に感じる人もいるのではないでしょうか。
国による「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」によると、ペットの扱いは原則「同行避難」という形です。
つまり、「安全な場所に移動するためにペットと一緒に避難してもよいですよ」ということです。
しかし、避難はしても避難所で一緒に生活できるとは限りません。
避難所での受け入れ体制や地域ごとによっても「ペットの扱い」に関しては取り決めが異なります。
ペットと同じ空間を共にする同伴避難が認められないケースもあり、それぞれの生活スペースを分ける場合がほとんどです。
ペットの救援物資は手に入りづらい
大規模な災害になればなるほど、国や自治体などから多くの救援物資が届きます。
その内訳は飲料水や食料、毛布など人が生活する上で欠かせないものばかりです。
しかし、ペットの場合の物資はどうなるのでしょうか。
ペット用の救援物資を提供される場合もありますが、手元に届くには時間がかかることが大半です。
東日本大震災では、ペット用の支援物資を載せたトラックが緊急車両として認められず、物資がなかなか到着しなかったという報告もあります。
こうしたことも考慮して、ペットのために必要になる物資はなるべく出来る限り飼い主が準備しておくべきでしょう。
災害に備えてやっておきたい3つのこと
ペットとの避難では、人間だけの避難よりも多くのリスクがつきまといます。
例えば避難中に迷子になってしまったり、怪我をしてしまったりといったリスクです。
ペットをなるべくリスクから回避してあげるために、事前に私たちにもできることがあります。
次は、ペットのためにできる災害に対しての備えを3つご紹介します。
ペットの情報をまとめたカードを作っておく
避難所ではペットと離れて暮らす場合も想定しなければなりません。
大切なペットの生活を確保するために、被災地域以外に住んでいる親戚や知人、あるいはペットホテルやボランティアの人に預けるという可能性も出てくるでしょう。
そうした時に便利なのが、ペット情報をまとめたカードの作成です。
ペットの情報をカードに書き記すことで、名前や年齢、予防接種や避妊・去勢手術の有無などが一目でわかります。
「誰のペットで、どんな健康状態なのか」をすぐに把握できるので、預かる側としても安心です。
また、飼い主の情報や猫の写真なども併せてカードに表記しておくのもおすすめ。
避難所へ向かう際や避難所に到着してからも、ペットが迷子になってしまうことは考えられます。
その写真をもとに、見かけた人がいないかペットを探すことが可能になるため、口頭で特徴を伝えるだけよりも見つかる確率はグッと上がるでしょう。
マイクロチップを装着しておく
万が一ペットがはぐれてしまった場合、飼い主の元に戻ってこなくなることも考えられます。
今まで一緒に生活をしてきた家族ですから、なんとしても探し出したいはずですよね。
仮に迷子になってもペットの飼い主を特定できるよう、マイクロチップの装着を検討してみましょう。
マイクロチップは、専用のリーダーで読み込むことで個体識別番号に関連した飼い主情報を確認することができるものです。
装着は専用の注射器を使用し、ペットの首の皮膚に注入を行ないます。
そのため、首輪などと比べると劣化や落としてしまう心配がありません。
2022年6月には、ペットの販売業者等へマイクロチップの装着を義務付ける法律も施行されました。
すでに飼っていたり、保護団体から譲り受けるなどの場合は、なるべく装着するよう国が呼びかけています。
ペット用の防災グッズを用意しておく
先ほどお伝えしたように、ペット用の支援物資は届きにくいのは確かです。
そのため、自身のペットのために必要になる物資はある程度準備しておくべきでしょう。
その際、「何を持ち出すのか」といった物資選びが重要になってきます。
一番重要なのはペットの健康や情報を守ること。
フードや飲料水、ペットの情報などの持ち出しを優先させましょう。
次に、ペットが快適に生活するためのペット用品の準備を行います。
ペットによって必要になるものや量は変わってくるものです。
万が一の時にもすぐ避難できるように、日頃からの防災グッズの準備や見直しを行ないましょう。
【最新】おすすめ便利グッズ2選
複数の用途ができるおすすめの便利グッズを2つご紹介します。
防水・防寒・防臭が可能!持ち運びしやすい軽量ケージ『いっしょに避にゃん』
折り畳み式でコンパクトに収納でき、工具不要・簡単組み立てで「ケージ」「トイレ」としての役割を持つ防災に特化したケージです。
横68㎝x縦43㎝x奥行43㎝と必要十分な広さがあるにもかかわらず、一般的なケージが約6㎏なのに対し、こちらの商品は約3㎏と約半分。
軽量なので持ち運びも負担になりづらいのが魅力です。
ポリプロピレン製で水に強く、ある程度の強度もあり、臭い漏れや防水の対策もバッチリできます。
トイレトレーやケージに貼り付けることができるプロフィールシールも付属しています。
変幻自在!8パターンの使い方ができる『わんにゃん防災便利ふろしき』
一見ただのふろしきですが、実は様々な使い方ができるこの商品。
敷物・キャリーバッグの目隠し・防寒、結べばバッグや抱っこひもなど、なんと全8パターンの使い方ができる優れもの。
さらに、ふろしきの中央には飼い主やペットの情報を書き込むことのできるスペースも設けられています。
準備しておいても小さく畳めば邪魔にならず、人間にとっても便利なアイテムのひとつです。
揃えてきたい防災グッズ7選
防災のためにいざペット用のグッズを準備しておこうと思っても、必要になるものや基準などがよく分からないという人もいるでしょう。
揃えておきたいペット用の防災グッズを7つご紹介しますので、可能な限り準備しておきましょう。
①首輪&迷子札
万が一迷子になってしまった時のためにも、首輪や迷子札の装着は必須です。
ペットの名前や飼い主の連絡先など、ペットに関する情報を必ず記載しておきましょう。
体内に注射するマイクロチップとは違い、装着の緩みや劣化が起こりやすいことには注意が必要です。
そのため日頃から定期的なチェックをしておきましょう。
また、首輪や迷子札をしておくことで飼い猫かどうかの判断ができるようになります。
万が一飼い主とはぐれてしまっても、ペットを見かけた人からの連絡が期待できます。
②ハーネス・リード
ペットがはぐれてしまいやすいのは、「自由に動ける環境にあるから」というのもひとつの理由です。
ただでさえ災害で警戒しているペットは、慣れない場所に居座ることにも不安を感じるはずです。
その結果、はぐれてしまったり、周囲に迷惑をかけてしまったりするケースも。
自身の目の届く範囲でペットを管理するためにも、ハーネスなどでペットを繋ぎ止めておく必要があります。
ハーネスやリードにも種類はさまざまあり、首輪との一体型や胴輪型のものもあります。
種類によっては、ペットが装着に違和感を持って嫌ってしまう可能性もあるため、ペットに合わせたものを選びましょう。
ハーネスを購入したら、たまに装着してある程度慣れさせておくと尚良しですね。
③キャリーケース
ペットの移動や避難所でのハウス代わりとして、キャリーケースは必ず準備しておきたいアイテムのひとつです。
キャリーケース内にペットを入れて移動できれば、はぐれてしまう心配もありません。
避難にあたって他にも防災グッズを持って移動する必要があるため、なるべく軽量で持ち運びしやすいものを準備しておくのがポイントです。
猫がキャリーケースに警戒心を持たないためにも、普段から出入りできる環境にして慣れさせておくのがおすすめです。
④ご飯&飲み水
ペット用の防災グッズとして必ず備蓄しておきたいのがご飯と飲み水です。
救援物資を供給を待つ中でも、ある程度(最低でも5~7日分)は準備しておくのが望ましいでしょう。
防災用のペットフードであれば、真空パックに詰められているため長期保存に向いているのがポイントです。
食事としてのクオリティが高いものが多く、馬肉や鶏肉といったさまざまなバリエーションからフードが選べます。
しかし、不慣れなフードであるとペットが警戒して食べてくれない可能性も。
一番良いのは、いつも食べているものを準備してあげること。
毎日食べているものであれば、ペットも安心して食事ができます。
しかし一般的なフードは防災フードに比べると長期保存ができないので、定期的に入れ替えるようにしましょう。
⑤ケージ
先ほど紹介したキャリーケースは、ペットの移動には便利ですが生活スペースとしては狭すぎます。
窮屈な場所で過ごすのは、ペットもかなりストレスなはずです。
ケージであれば、キャリーケースと比べてある程度の広さを確保できます。
ハードタイプのものから、折り畳みができるソフトタイプまで種類はさまざまです。
なるべく持ち運びがしやすく、ペットのひっかきや噛みつきに強い素材を選ぶようにしましょう。
おすすめはリュックキャリー式のケージです。
こちらの商品は持ち運びの容易さはもちろんのこと、リュックを拡張することでケージとしての役割を果たせるのがポイント。
ファスナーで仕切れるため、最大2頭の収容が可能です。
また、底面はボアマットなどペットの過ごしやすい素材を採用したり、胸と腰のベルトで背負う負担の軽減したりとペットにも飼い主にも親切な設計になっています。
⑥トイレ関連アイテム
避難先でペットが自由に用を足すためには、やはり専用のトイレが必要です。
ペットの中には、自分が落ち着ける場所でしか用を足さない子も少なくありません。
普段から使用しているトイレが望ましいですが、持って歩くのには一苦労です。
そんな時はポータブルトイレを使用しましょう。
普段からポータブルトイレにも慣れさせておくことで、万が一の場合でもペットが落ち着いてトイレを済ませられます。
しかし、もうひとつ気になるのがトイレの臭いです。
臭いの苦情は避難所でも多く寄せられるため、ペットのトイレ後にはなるべく早めの掃除が必要になります。
エチケット袋などを準備してトイレの防臭を行ないましょう。
袋の種類によっては硬く結んでいても、臭いが漏れてしまうものも。
こちらの商品は防臭力に優れた素材「BOS」を採用しています。
菌を通さない特殊仕様で、燃やしても人体に有毒なガスの発生がない環境に優しい商品です。
⑦その他
上記の物が準備できれば、ある程度は安心して生活ができるでしょう。
しかし、念には念を入れておきたいですよね。
最後に、あると便利なグッズをご紹介します。
薬類
持病があって動物病院に通院しているペットには、常備薬が必要です。
災害時は救援物資同様、お薬の調達も困難になります。
保存期間や方法なども薬によって変わってくるため、万一の場合に備えてかかりつけ医に相談しておきましょう。
また、避難中や避難先で怪我をしてしまう可能性も考えられます。
持病の薬以外にも、消毒液や包帯などの準備も忘れずに行ないましょう。
ペットの写真
猫とはぐれてしまった場合を想定して、ペットの写真を準備しておきましょう。
スマホで撮影したものでも大丈夫ですが、災害時に故障してしまったり、十分に充電を確保できなかったりといったトラブルも考えられるのでおすすめは現物の写真です。
なるべくはっきりと写りの良いものを準備し、猫と照らし合わせてもすぐにわかるくらいの写真が望ましいです。
飼い主と一緒に映った写真であれば、誰の飼い猫であるかもはっきりするのでおすすめです。
洗濯ネット
普段は大人しいペットでも、慣れない環境の中で不安を抱えて暴れてしまう可能性があります。
その結果、周囲に迷惑をかけたり、その他トラブルの原因になることも。
ペットを落ち着かせるための対処法として、洗濯ネットを使用するのもよいでしょう。
しかし、無理やり入れようとするとペットが抵抗し、こちらが怪我をしてしまう可能性もあるので注意が必要です。
洗濯ネットで猫が大人しくなる理由についてはこちらの記事でご紹介しています
⇒捨て猫・野良猫の子猫を保護した!すぐにできる処置とその後の対応について
タオル、新聞紙、ゴミ袋など
あると重宝するのがタオルや新聞紙、ゴミ袋などです。
これらは特定のアイテムがない場合に、代用する形で使えるのがポイント。
例えば、トイレ掃除のためのエチケット袋がない場合、新聞紙とゴミ袋を使用すれば排泄の処理ができます。
多目的の用途に利用できるので、ペットだけではなく私たちの人間の生活でも十分に活躍するでしょう。
いくら用意しておいても困らないアイテムです。
しっかり準備して万が一に備えよう
災害はいつ起きてもおかしくはありません。
どんな状況でも自身やペットの身を守ることを考え、「避難する」という選択肢を最優先にしましょう。
しかし、避難した後にも私たちの生活は続きます。
すぐには元通りの生活に戻らないケースも考えておかなければなりません。
そして、生活していく上ではあらゆる物資が必要になってきます。
今回ご紹介した防災グッズなどを持ち出しておけば、ペットの生活水準を保つことができるでしょう。
避難先で物資に困らないために、日頃から防災意識を持って備えておくことは私たち自身にとっても愛するペットにとってもメリットしかありません。
ぜひこの機会に防災意識を高めて準備に取りかかってみてはいかがでしょうか。