新しく猫を迎えるとき、考えなければならないことはたくさんあります。
猫に必要なものを用意したり、環境を整えたり…。
その中でも、多くの方にとって最初の大きなハードルとなる「猫の去勢・避妊手術」について、今回は解説していきたいと思います。
猫にとって去勢・避妊手術は本当に必要?
そもそも、病気でもないのに猫に負担をかける去勢・避妊手術は本当に必要なことなのでしょうか。
自然の摂理に逆らう行為はただの人間のエゴでは?という声は、決して間違いとは言えません。
とはいえ、去勢・避妊手術をすることは猫にとっても飼い主である私たちにとっても大きいメリットを与えてくれます。
妊娠を望まないのであれば去勢・避妊手術は、例えほかの猫と接触がない単独飼いだったとしてもすべきことだと私は考えます。
オス猫の去勢手術について
ここからは、雄猫の去勢手術について詳しく解説していきます。
どんな手術をするの?
少なからず猫の体に負担をかけてしまう手術。飼い主として、どんな手術をするのか事前に知っておきたいですよね。
雄猫の去勢手術の内容をみてみましょう。
手術の流れ
①手術前の診察
②診察した日から数日以内に手術の予約を取る
③手術前夜~当日までは絶食(手術前12時間以上が一般的)
④手術当日は水も禁止。午前中に病院へ預け、飼い主は一旦帰宅
⑤同日夕方頃に引き取りに行く
⑥術後の注意点などを聞く
去勢手術は日帰りがほとんどですが、まれに1泊程度入院になる場合もあります。
手術の内容
去勢手術は精巣を摘出する手術です。一般的には全身麻酔をかけて、精巣付近の皮膚を1~1.5cmほど切開して精巣の摘出を行ないます。
所要時間は約10分程度。
摘出後は縫合を行ないますが、最近では抜糸の必要がない溶ける糸を使った縫合が多く用いられています。
また、手術方法によっては、縫合の必要がない場合もあります。
何歳から・何歳までに受けるべき?
雄猫の場合、生後6~10ヶ月程度で性成熟し始めます。
去勢手術は発情期が来る前に済ませておくのが理想なので、生後6ヶ月前後がベストと言えます。
手術費用の相場はどれくらい?
雄猫の去勢手術にかかる費用は、10,000円~15,000円程度が一般的です。
また、手術費用のほかに手術前の診察や術後入院となった場合の費用も用意しておくといいでしょう。
去勢手術のメリット・デメリット
【メリット】
・発情しなくなることで性的欲求によるストレスを消すことができる
・病気のリスクを減らすことができる(前立腺・精巣関連)
・マーキング行動(スプレー)が無くなる
【デメリット】
・肥満になりやすくなる
メス猫の避妊(不妊)手術について
次に、雌猫の避妊手術についてみていきましょう。
どんな手術をするの?
避妊手術は去勢手術よりも大掛かりな手術が必要となりますが、具体的な手術内容はどんなものでしょうか。
手術の流れ
①手術前の診察
②診察した日から数日以内に手術の予約を取る
③手術前夜~当日までは絶食(手術前12時間以上が一般的)
④手術当日は水も禁止。午前中に病院へ預け、そのまま入院
⑤翌日に引き取りに行く
⑥術後の注意点などを聞く(傷口を舐めないようにするためのエリザベスカラーや術後服などの説明があります)
避妊手術は入院が必要な場合がほとんどです。
また、退院後に抗生剤を与える必要があったりと去勢手術に比べて注意点も多いので、しっかりと説明を聞いておきましょう。
手術の内容
避妊手術は、卵巣と子宮もしくは卵巣のみを摘出する手術です。一般的には卵巣と子宮の両方を摘出することが多く、子宮に関する病気のリスクをなくします。
ただし、病院によっては猫にかかる負担を最小限に抑えるために卵巣のみの摘出を推奨しているケースもあるので、かかりつけの病院に相談してみましょう。
手術は全身麻酔をかけて行ない、所要時間は1~2時間程度です。
手術方法は開腹手術が一般的で、おへその辺りを数センチ程度切開して摘出を行ないます。
また、最近では腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)と呼ばれる手術法を用いる病院もあり、この場合は傷口をより小さく済ませることが可能です。
病院によっては手術後に面会ができるところもあるので事前に聞いておくといいですね。
何歳から・何歳までに受けるべき?
雌猫の場合、生後6~8ヶ月程度で性成熟し始めます。
避妊手術も去勢手術同様、発情期が来る前に済ませておくのが理想なので、生後6ヶ月前後がベストでしょう。
手術費用の相場はどれくらい?
雌猫の避妊手術にかかる費用は、卵巣・子宮の両方を摘出する場合15,000円~30,000円程度が一般的ですが、前述した腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)をする場合は10万円程度が必要となります。
また、手術費用のほかに手術前の診察や入院、エリザベスカラーや投薬などにも別途費用がかかります。
避妊手術のメリット・デメリット
【メリット】
・発情しなくなることで性的欲求によるストレスを消すことができる
・予定しない妊娠を回避することができる(外出する猫や雄猫と同居の場合)
・病気のリスクを減らすことができる(子宮蓄膿症や子宮内膜症、乳腺がんなど)
【デメリット】
・肥満になりやすくなる
去勢・避妊手術に失敗するリスクはある?
手術に失敗するリスクは決してゼロではありません。
総数自体わずかではあるものの、なかでも多いとされているのは麻酔による事故です。
投与する麻酔の量や手術当日の猫のコンディションなど、多くの要因が重なった時に起こり得る可能性があります。
また、人の手で行われる手術なので、医療ミスが絶対に起こらないとも言い切れません。
万が一にでもリスクがあると分かっているのに、それでも受ける必要があるのか?と思う方も多いでしょう。
しかし、去勢・避妊手術にはそのリスクを上回る大きなメリットがあるということを知っておいてください。
去勢・避妊手術費用には助成金が下りることも
お住いの地域や自治体によっては、猫の去勢・避妊手術にかかる費用に助成金が出ることがあります。
ただし金額の差は大きく、そもそも助成金の制度がないところもあります。
例1:東京都千代田区
去勢手術:17,000円
避妊手術:2,0000円
例2:東京都新宿区
去勢手術:2,500円
避妊手術:4,000円
手術を受ける前に一度チェックしておきましょう。
各地域の助成金は下記サイトでチェックすることができますよ。
まとめ
以上、猫の去勢・避妊手術について解説しました。
メリット・デメリットはありますが、手術をすることで長生きの可能性が高まるのが最大の理由ではないでしょうか。
愛する猫がストレスなく病気をせずに少しでも長生きしてくれたら、こんなに嬉しいことはありませんよね。
ぜひこれから新たに猫を迎え入れる方や去勢・避妊手術に臨む場合はこの記事を参考にしてみてくださいね。